昭和の時代91、消えた世界6、台所事情2、おくどさん
戦後に住宅を建て直していなければ昭和の三十年代初めまでかまどのある家は珍しくなかった、、我が家が間借り生活をしていたその家も台所の中心をかまどが占めていた。
今の様にスイッチを捻れば火が着く便利さはない、かまどで煮炊きをしたいなら熱源となる薪や炭を用意しなくてはいけない、、、木を切っただけでは燃えない、充分に生木を乾燥をさせて更に一手間、二手間掛けて薪になる。
我が家の裏にも父が集めてきた廃材が堆く積まれていた、休みの日に父は半日掛けて廃材を置き換え乾燥させていたそして燃やしやすい大きさに切り揃え斧で割っていた。
廃材も簡単には入らない、家の改修改築で廃材が出ると聞くと予め貰い受ける約束をして貰ってくる、、父は朝早く其処に出掛け夜遅くなって台八車に廃材を積んで帰ってきた。
朝夕におくどさんに火を入れる、、新聞紙を固く捻りマッチで火を点け焚き口に入れたら細い木を火の点いた新聞紙の上に置き燃え上がるのを確認する、充分に火が大きくなったら薪を二三本差し入れ火力を上げてゆく、、、
おくどさんの傍には手火鉢ほどの大きさの鋳物で作った壺が置かれていた、、
煮炊きが終わり火が残っていたら、、火の点いた薪を水の入ったバケツに入れ火を消す、小さな破片はその鋳物火消し鉢に入れ殻消し炭にして次に火を点けた時の火力の足しにする。。。薪は大事に使っていた。
冬の寒い日、大きなおくどさんは温もりを持っていたよくその外壁に凭れていて母親に怒られた、、、「子供は風の子外で遊んどいで、、」
おくどさんの火を消しても暫く、、正確には次の火を入れるまでは温もりがある、、
「灰が温かくてね、うっかりすると、、、」 と母が昔を懐かしんで話してくれた、、、朝、薄暗い台所なのでおくどさんの中はよく見えないうっかり火の点いた新聞紙を放り込むと、、「ギャァ!」 と叫び声が上がり猫が飛び出して来ると母は言った。
「猫が入り込まないように寝る前に焚き口に板戸を置き殻消し壺で塞いで措くや。」
そう言えばあの時怒られたけれど、、、猫もおくどさんから飛び降りた、、
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